雨あがる

| by Teenage Slang Session / じん |

2019年11月23日(土)、雨の中、印刷屋のKinkosにコピーをしに来た。企画当日に配布しようと思う文章のやつだ。

ボクと同時に3人の子供連れのお母さんが入店して、ボクが先に案内された。

コピーを取りたいのと、紙を普通紙でないものにしたいので紙サンプルを見せて下さいと申し出た。しばらく悩んでいると、後ろに並んでいたお母さんと子供たちがスッとコピー機の前に行きおもむろにコピーをはじめた。

興味旺盛な男の子は店内を歩き、時に跳ねてそこはダンスフロアとする。次女らしき子はお兄ちゃんを追いかける。さすがに静かにするように母に粛清されるふたり。

ボクは店員にコピーのやり方と指定した紙の取り替え方を教えてくださいと伝えると店員は親子の使っているコピー機に行きストップボタンを押した。驚く親子とボク。ボクらは一緒ではないですよ。と伝えた。

ここ、Kinkosではコピーをとる際は、まず店員に申し出て、札をもらってからコピー機に行くというシステムなのだ。なのでボクが紙を選んだりしている間に親子がコピーを取り始めたので、ボクが彼らのお父さんと店員が早合点したのだ。お母さんも早合点してコピーしてしまっていたので恥ずかしそうにしていた。

お母さん、あの人のこと飛ばしてやっちゃったんだ。あーぁー。と、長男。

ボクは気にせずコピー機を移動して、コピーをはじめたのだが、子供たちのお母さんは恥ずかしさからかご機嫌がななめになった。

コピーしているのはどうやら長女の計算ドリルやら漢字ドリル。お母さんは、なんでこんなに計算問題ばっかコピーにとるのか意味が分からない、漢字ドリルなら分かるけど。と、少し長女に当たり気味だった。

長女は年長であるだけあって、大人の顔色に敏感だ。こっちは明日すごい楽しいことが待ってるのにちょっと嫌な雰囲気だなと思った。

ボクが悪いわけではないと思うが、少しかわいそうだと思って、そちらに目をやった。長男は大胆にも店内の真ん中で鼻をほじることをやめない。少し泣きっ面の長女。こちらをガン見する次女。思わずボクは目をそらしてコピーに戻る。

コピーに戻るとはいえ、コピーをし終わるのを待つだけだからボクもやることはない。もう一度あちらを見てみるとやはり次女。相変わらずの鼻ほじり名人の長男。泣きっ面の長女はとうとう圧力に負け気味になり、もうコピーとらないでいいから怒らないでと泣き出しそう。ボクがチラッと見たせいか母親は何も言葉にせずムッとしてた。次女の謎ガン見と合わせてボクは居心地が悪い。

ボクのコピーが終わった。やっと脱出できると喜び勇んで印刷物と原稿をまとめてカウンターまで凱旋パレード。ボクがカウンターに着くくらいに長女はぐずり気味にもうコピーしないでいいから!と、先ほどより少し声を荒げていった。お母さんは不機嫌なままだがコピー全部終わらせたから静かにしてと、言うと長女の声はとうとう泣き声に変わった。

こりゃ大変だなーと思っていたら長女は、わーん、ありがとう!と、泣き叫んだ。ボクは翌日ありがとうと言う名の企画をやることと何か運命を感じてしまって思わず振り返ってしまった。

不機嫌顔の母親の顔がボクの真後ろにあって、その後ろでもう嘘泣きをやめてケロッとした顔の長女、上着を脱いだり着たりしてる謎多き長男、不屈のガン見ガール次女。

ボクはハッと気付いて、もしかしてこの表紙のうさぎの絵か?!と思って、次女にいる?と聞いたらもらってくれた。お母さんも笑顔で、ありがとうございます。と言ってくれた。

今回の企画、この家族がボクのファーストありがとう。